2025/04/03 13:43

日本という国を語るとき、私たちはしばしば四季折々の自然、古くから伝わる文化、そして人々の暮らしの中に息づく目に見えない存在の「神様」に思いを馳せます。
山や川、風や火、家や道具にまで神様が宿ると信じられてきた日本。
この独特の宗教観は、単なる信仰にとどまらず、私たちの言葉づかいや生活習慣、さらには価値観にまで深く影響を与えてきました。
本記事では、まず日本の神様と古事記の関係、そしてあまり知られていない神様の数え方、最後に日本の有名な神様13柱について詳しく解説します。
目次
神様と古事記
神様の数え方、なんと数えるのが正しいのか?
神々の系譜図
日本の有名な神様13柱
・天之御中主神
・高御産巣日神
・神産巣日神
・伊邪那岐命
・伊邪那美命
・天照大御神
・須佐之男命
・月読命
・櫛名田毘売
・大国主神
・倭建命
・猿田毘古神
・天宇受売命
まとめ
神様と古事記
古事記(こじき)は、712年に太安万侶(おおのやすまろ)によって編纂された、日本最古の歴史書です。
その主な目的は、天皇の正統性を神代(かみよ)から証明することにあり、神話・伝承・歴代天皇の記録が収められています。
特に上巻では、天地開闢(てんちかいびゃく)すなわち天地が初めて開かれたときの様子から始まり、「イザナギ」と「イザナミ」による国生み・神生みの物語が語られます。
ここで登場する神々は、自然界や社会の秩序を象徴しており、神道の基本的な世界観が形づくられています。
古事記に記される神々の数は非常に多く、「八百万(やおよろず)の神」という表現に象徴されるように、あらゆるものに神が宿るという日本独特のアニミズム的信仰が反映されています。
これにより、山や川、風や雷、さらには家や道具、人の感情にまで神が宿るとされ、日常生活と深く結びついた信仰となっています。
神様の数え方、なんと数えるのが正しいのか?
日本語で神様を数えるときには、特別な助数詞「柱(はしら)」が用いられます。
たとえば「天照大神一柱(あまてらすおおみかみ ひとはしら)」のように表現されます。
この「柱」は、神様が社会や宇宙の秩序を支える重要な存在であるという象徴的意味を持っています。
建物を支える柱になぞらえ、神々もまた世界を支える存在と捉えられているのです。
これは仏教における「一尊(いっそん)」や「一体(いったい)」といった数え方に相当するものです。
さらに、「八百万(やおよろず)の神々」という言葉は、単に800万の柱の意味ではなく、数えきれないほど無数の神々が存在するという比喩的表現です。
この言い回しは、日本の神道に根付くアニミズム的な思想(すなわち自然界のあらゆるものに霊的存在が宿るという考え方)をよく表しています。
雨や風、木々、山、石といった自然物から、台所、井戸、さらには道具や言葉、感情までもが神格化され、広く信仰の対象となっています。
神々の系譜図
天地開闢(てんちかいびゃく)と造化三神(ぞうかさんしん)
├── 天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
├── 高御産巣日神(たかみむすひのかみ)
└── 神産巣日神(かみむすひのかみ)
国生み・神生みの時代
├── 伊邪那岐命(いざなぎのみこと)
└── 伊邪那美命(いざなみのみこと)
├── 火の神:軻遇突智神(かぐつちのかみ)など多くの神々を産む
└── 死後、黄泉の国へ(死の始まり)
伊邪那岐命の禊(みそぎ)より誕生した三貴子(さんきし)
├── 天照大御神(あまてらすおおみかみ)…左目より
├── 月読命(つくよみのみこと)…右目より
└── 須佐之男命(すさのおのみこと)…鼻より
須佐之男命 と 櫛名田毘売命(くしなだひめ)の結婚
└── 系譜上では直接の子ではないが、大国主神(おおくにぬしのかみ)につながる出雲系神話へ
天津神系統(天照大神の子孫)
└── 瓊瓊杵尊(ににぎのみこと) → 神武天皇へ
└── 倭建命(やまとたけるのみこと)は景行天皇の皇子として登場
補足神々
- 猿田毘古神(さるたひこのかみ):瓊瓊杵尊を地上へ導いた道案内の神
- 天宇受売命(あめのうずめのみこと):天岩戸神話で重要な役割、のちに猿田毘古神の妻となる
日本の有名な神様13柱
日本神話には数多くの神々が登場し、自然、現象、道具、思想、人物などあらゆるものに宿るとされています。
特に「古事記」「日本書紀」といった古典には、天地創造から国土形成、天皇家の祖先までが語られており、これに登場する神々が日本の神話体系の中心を成しています。
その中でも、天照大御神をはじめとする天津神(あまつかみ)、地上を治める国津神(くにつかみ)が対比的に描かれ、複雑ながらも奥深い神々の系譜が広がります。
日本の有名な神様を一柱ずつ紹介します。
天之御中主神
解説:
古事記において最初に現れる神様で、宇宙の創成時に登場する「造化三神(ぞうかさんしん)」のひとりです。 独り神(ひとりがみ)として自ずから成り出で、他の神々との関わりを持たない抽象的な存在です。 「御中主」とは「中心を司る主」の意で、宇宙の根源・秩序の象徴とされます。 実際の神話には登場せず、信仰の中心として広く知られるのは比較的近代以降のことです。 江戸時代以降の国学者や明治期の国家神道において特に重視されました。高御産巣日神
解説:
造化三神の2柱目で、「むすひ(産霊)」とは生成・繁栄・命の力を意味します。 高天原に現れた神様で、直接の神話的エピソードは少ないものの、あらゆる神々の誕生に関与する存在です。 「高御」は「高天原の至高位」を意味し、神霊の根源を象徴します。 神社では国土安泰・農耕・出産の神様として祀られることが多く、「むすひ信仰」の源流ともいえます。神産巣日神
解説:
高御産巣日神と対をなす存在で、同じく「産霊」の力を持ちます。 「神」の字が加わることで、より霊的・神秘的な性質が強調されます。 古事記では大国主神を助ける場面で重要な役割を果たし、神霊的な守護者としての側面を持っています。 医療・癒やしの神様としても信仰され、のちに仏教の「妙見信仰」や「北辰信仰」と習合した例も見られます。伊邪那岐命
解説:
天地開闢後に国土を創造するために遣わされた神様で、伊邪那美命とともに「国生み」「神生み」を行いました。 黄泉の国からの帰還後、禊(みそぎ)を行い、その際に三貴子(天照大神・月読命・須佐之男命)を生み出します。 この「禊神話」は、清浄と穢れという神道の根本思想を形づくる重要なエピソードで、主に淡路島や九州地方の神社に祀られています。伊邪那美命
解説:
伊邪那岐命とともに国土を生み、多くの神々を産んだ女神様です。 火の神・軻遇突智(かぐつち)を産んだ際に火傷を負い、命を落とします。 死後は黄泉の国(死者の世界)に赴き、最初の死者として死の穢れを象徴する存在となりました。 死と再生、生と死の境界を象徴する神様として、熊野や出雲などの地域に深い信仰が根づいています。天照大御神
解説:
日本神話の中心的な存在で、太陽を司る女神様です。 伊邪那岐命の禊の際に左目から生まれ、天上の世界「高天原」を統治します。 弟の須佐之男命の乱暴により「天岩戸(あまのいわと)」に隠れ、世界が暗闇に包まれる神話は有名です。 この出来事を経て再び姿を現したことで、太陽の復活=再生の象徴となります。 天皇家の祖先神とされ、伊勢神宮(内宮)に祀られる日本最高位の神様です。須佐之男命
解説:
天照大神の弟で、海原を治めることを命じられた神様ですが、荒ぶる性格のため高天原を追放されます。 地上に降りた後、出雲で八岐大蛇(やまたのおろち)を退治し、櫛名田毘売(くしなだひめ)を助けて妻とします。 この勇壮な神話により英雄神としても知られます。 天照大神との対比で荒魂の象徴とされ、出雲大社や須佐神社などに広く祀られています。月読命
解説:
伊邪那岐命の禊から右目より生まれた神様で、天照大神・須佐之男命と並ぶ「三貴子(さんきし)」の一柱です。 月を司る存在で、夜・静寂・陰の側面を象徴します。 神話の中での登場は限られており、日本書紀では保食神を斬ったことにより天照大神と仲違いする逸話が語られます。 神社では農業・暦・陰陽の神様として信仰されています。櫛名田毘売
解説:
八岐大蛇に生け贄として捧げられるところを須佐之男命に救われ、後にその妻となった女神様です。 名前の「櫛(くし)」は髪を整える櫛であると同時に、神聖な道具としての意味も持ちます。 須佐之男命が彼女のために「須賀宮(すがのみや)」を建てたことが出雲地方の信仰につながります。 現在では縁結びや家庭円満の神様として広く親しまれています。大国主神
解説:
出雲の国を治め、国造りを行った神様で、非常に多くの異名を持ちます(例:大己貴神・大物主神など)。 因幡の白兎を助けた心優しい神様として知られ、出雲神話の中心人物でもあります。 のちに天津神に国を譲る「国譲り神話」は、天孫降臨へとつながる重要な転換点です。 出雲大社の主祭神であり、縁結び・商売繁盛・病気平癒など多くのご利益があるとされています。倭建命
解説:
日本武尊(やまとたける)としても知られる、伝説的な武勇の神様です。 景行天皇の皇子で、各地の反乱を鎮圧するため東国・西国へ遠征し、伊勢で天叢雲剣(草薙剣)を授かり、これを用いて多くの困難を乗り越えました。 死後は白鳥となって飛び去ったと伝えられ、白鳥信仰の起源ともなりました。 英雄神としての側面が強く、戦勝・守護の神様として信仰されています。猿田毘古神
解説:
天孫・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が地上に降臨する際、その道案内を務めた神様です。 鼻が高く、目が光るという特徴から異形の神様とされます。 道開き・交通安全・旅の守護神として広く信仰されており、道祖神や庚申信仰の源流とされることもあります。 天宇受売命との関係も深く、現世と神世をつなぐ存在としての神格を持ちます。天宇受売命
解説:
芸能の神様で、天岩戸に隠れた天照大神を外へ誘い出すため、舞を踊って神々を笑わせたことで知られる女神様です。 この「天岩戸神話」は、太陽の復活・世界の再生を象徴する重要な神話とされています。 その後、猿田毘古神と結婚し、人と神をつなぐ存在とされました。 芸能・祭祀・笑い・縁結びなど、非常に多彩なご利益があるとされ、天鈿女命とも書かれます。日本人が知っておくべき、日本の有名な神様13柱で紹介した神様Tシャツ
まとめ
日本には、八百万の神という表現に象徴されるように、あらゆるものに神様が宿るという日本独特のアニミズム的信仰が反映されています。
今回の記事で、日本の神様についての理解を深めていただけたと思います。
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