2026/09/17 06:57

「裏天皇」という言葉を見聞きすると、「本当にそのような立場の人物がいるのか」「八咫烏(やたがらす)とどのような関係があるのか」「現在も存在するのか」と気になる人もいるでしょう。
結論からいうと、宮内庁が公開している現在の皇室制度には、「裏天皇」という身位・役職は確認できません。一方、都市伝説やミステリー系の出版物では、八咫烏や「金鵄(きんし)」と結び付けて「裏天皇」が語られてきました。
この記事では、現在の皇室制度や日本神話で確認できる内容と、裏天皇・八咫烏をめぐる都市伝説を分けながら、「裏天皇とは何を指す言葉なのか」「なぜ八咫烏と結び付けられるのか」「現在もいるといわれるのはなぜか」を整理します。
目次
・裏天皇とは?公式制度ではなく都市伝説で使われる呼び名
・裏天皇と八咫烏はなぜ結び付けられる?
・裏天皇「金鵄」と3人の大烏とは?
・裏天皇は現在もいる?存在するといわれる説を整理
・裏天皇・八咫烏の都市伝説はどこから広まった?
・まとめ
裏天皇とは?公式制度ではなく都市伝説で使われる呼び名
「裏天皇」は、現在の皇室制度で定められた正式な身位や役職ではありません。主に都市伝説やミステリー系の書籍などで、表に出ない権威者や祭祀に関わる存在、八咫烏とされる秘密組織の指導者などを指す言葉として使われています。
ただし、「裏天皇」という言葉に一つの決まった定義があるわけではありません。八咫烏の上位者を指す説もあれば、古代史や陰陽道に別の「影の権力者」を想定する説もあります。
そのため、裏天皇について調べるときは、「裏天皇という実在の役職があり、その正体を探す」というより、「異なる都市伝説の中で、誰や何が裏天皇と呼ばれてきたのか」を整理すると分かりやすくなります。
「裏天皇」という言葉の意味
都市伝説で語られる「裏天皇」は、文字どおり現在の天皇に対する公式な呼称ではありません。
一部の書籍では、表の歴史には現れない祭祀者や秘密組織の最高位にいる人物を「裏天皇」と表現しています。また、八咫烏に関する都市伝説では、「金鵄」と呼ばれる存在を裏天皇とする説も語られています。
一方で、別の書籍では古代豪族や安倍晴明などをめぐる仮説の中で「裏天皇」という言葉が使われています。
つまり、「裏天皇」という言葉そのものが、歴史学上の確立した用語というより、複数の都市伝説を説明するために使われてきた呼称と考える方が適切です。
皇室の公式制度に「裏天皇」はある?
宮内庁は、皇室に関する制度として、天皇、皇族、皇位継承、摂政、国事行為の臨時代行、皇室会議などを公開しています。また、皇族の範囲や身位についても皇室典範に基づいて説明しています。
今回確認したこれらの公式情報に、「裏天皇」という身位・役職・制度はありません。
現在の皇室について語る場合は、この公式制度と、都市伝説の中で使われる「裏天皇」という言葉を混同しないことが大切です。
裏天皇と八咫烏はなぜ結び付けられる?
裏天皇について調べると、頻繁に登場するのが「八咫烏」です。
八咫烏はもともと、日本神話に登場する存在です。ところが現代では、その八咫烏を古代から続く秘密組織とみなし、さらにその上位に「裏天皇」がいるとする都市伝説も語られるようになりました。
ここでは、神話として確認できる八咫烏と、秘密結社として語られる八咫烏を分けて見ていきます。
日本神話に登場する八咫烏とは

結論からいうと、宮内庁が公開している現在の皇室制度には、「裏天皇」という身位・役職は確認できません。一方、都市伝説やミステリー系の出版物では、八咫烏や「金鵄(きんし)」と結び付けて「裏天皇」が語られてきました。
この記事では、現在の皇室制度や日本神話で確認できる内容と、裏天皇・八咫烏をめぐる都市伝説を分けながら、「裏天皇とは何を指す言葉なのか」「なぜ八咫烏と結び付けられるのか」「現在もいるといわれるのはなぜか」を整理します。
目次
・裏天皇とは?公式制度ではなく都市伝説で使われる呼び名
・裏天皇と八咫烏はなぜ結び付けられる?
・裏天皇「金鵄」と3人の大烏とは?
・裏天皇は現在もいる?存在するといわれる説を整理
・裏天皇・八咫烏の都市伝説はどこから広まった?
・まとめ
裏天皇とは?公式制度ではなく都市伝説で使われる呼び名
「裏天皇」は、現在の皇室制度で定められた正式な身位や役職ではありません。主に都市伝説やミステリー系の書籍などで、表に出ない権威者や祭祀に関わる存在、八咫烏とされる秘密組織の指導者などを指す言葉として使われています。
ただし、「裏天皇」という言葉に一つの決まった定義があるわけではありません。八咫烏の上位者を指す説もあれば、古代史や陰陽道に別の「影の権力者」を想定する説もあります。
そのため、裏天皇について調べるときは、「裏天皇という実在の役職があり、その正体を探す」というより、「異なる都市伝説の中で、誰や何が裏天皇と呼ばれてきたのか」を整理すると分かりやすくなります。
「裏天皇」という言葉の意味
都市伝説で語られる「裏天皇」は、文字どおり現在の天皇に対する公式な呼称ではありません。
一部の書籍では、表の歴史には現れない祭祀者や秘密組織の最高位にいる人物を「裏天皇」と表現しています。また、八咫烏に関する都市伝説では、「金鵄」と呼ばれる存在を裏天皇とする説も語られています。
一方で、別の書籍では古代豪族や安倍晴明などをめぐる仮説の中で「裏天皇」という言葉が使われています。
つまり、「裏天皇」という言葉そのものが、歴史学上の確立した用語というより、複数の都市伝説を説明するために使われてきた呼称と考える方が適切です。
皇室の公式制度に「裏天皇」はある?
宮内庁は、皇室に関する制度として、天皇、皇族、皇位継承、摂政、国事行為の臨時代行、皇室会議などを公開しています。また、皇族の範囲や身位についても皇室典範に基づいて説明しています。
今回確認したこれらの公式情報に、「裏天皇」という身位・役職・制度はありません。
現在の皇室について語る場合は、この公式制度と、都市伝説の中で使われる「裏天皇」という言葉を混同しないことが大切です。
裏天皇と八咫烏はなぜ結び付けられる?
裏天皇について調べると、頻繁に登場するのが「八咫烏」です。
八咫烏はもともと、日本神話に登場する存在です。ところが現代では、その八咫烏を古代から続く秘密組織とみなし、さらにその上位に「裏天皇」がいるとする都市伝説も語られるようになりました。
ここでは、神話として確認できる八咫烏と、秘密結社として語られる八咫烏を分けて見ていきます。
日本神話に登場する八咫烏とは

八咫烏は、『古事記』『日本書紀』の神武東征に登場し、熊野から大和へ向かう神武天皇を導く存在として知られています。
現在では三本足の烏として広く知られていますが、『古事記』『日本書紀』に「三本足」と明記されているわけではありません。熊野の信仰や賀茂氏との伝承、中国の三足烏など、さまざまな文化的背景が重なり、現在知られる八咫烏像が形づくられてきました。
この神話上の八咫烏と、現代の都市伝説で語られる「秘密結社・八咫烏」は同じものとして扱うことはできません。
八咫烏の神話上の意味や三本足の由来、秘密結社説については「八咫烏とは?意味と正体、秘密結社とされる組織について解説」で詳しく紹介しています。
「秘密結社・八咫烏」という都市伝説
ここからは、史実として確認されている話ではなく、都市伝説として語られている内容です。
都市伝説の世界では、八咫烏は単なる神話上の烏ではなく、古代から続く秘密組織の名称でもあるとされることがあります。
そこでは、八咫烏が神道や祭祀、陰陽道などの裏側に関わり、日本の歴史を影から支えてきたといった説が語られます。そして、その組織の頂点や指導的な存在を「裏天皇」と呼ぶ物語へつながっていきます。
しかし、神話に八咫烏が登場することと、「八咫烏」という秘密組織が古代から現在まで実在していることは別問題です。
今回確認した公的・学術的資料から、古代から続く秘密結社としての八咫烏の実在を確認することはできません。そのため、秘密組織としての八咫烏は、あくまで現代の都市伝説として扱います。
賀茂氏や陰陽道との関係は?
八咫烏の都市伝説が陰陽道と結び付けられる背景には、確認できる歴史と伝承があります。
下鴨神社では、祭神の賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)が八咫烏に化身し、神武天皇を導いたとする伝承が紹介されています。一方、陰陽道の歴史では、賀茂氏と安倍氏が重要な役割を担いました。国立歴史民俗博物館も、陰陽道が安倍氏と賀茂氏によって継承されていたことを紹介しています。
こうした「八咫烏と賀茂氏」「賀茂氏と陰陽道」という別々の関係が、後世の都市伝説では結び付けられ、「八咫烏は陰陽道を操る秘密組織だった」といった説として語られることがあります。
ただし、賀茂氏が秘密結社・八咫烏そのものだったことや、秘密組織が陰陽道を裏で支配していたことが史実として確認されているわけではありません。
陰陽師や陰陽道、安倍晴明の実像については「安倍晴明とは?死因や陰陽師としての実像、陰陽道との関係を解説」で詳しく紹介しています。
裏天皇「金鵄」と3人の大烏とは?
裏天皇と八咫烏を結び付ける都市伝説で、特に登場しやすい言葉が「金鵄」「大烏」「12烏」です。
これらは宮内庁などの公的資料で確認できる組織名や役職ではありません。都市伝説系の出版物やネット上のコンテンツなどで語られてきた言葉として見ていく必要があります。
「金鵄」と呼ばれる裏天皇説
八咫烏と裏天皇を結び付ける説が出版物として確認できる例の一つが、飛鳥昭雄・三神たける著『失われたイエスの12使徒「八咫烏」の謎』です。
同書は2001年12月に学習研究社から刊行されました。国立国会図書館サーチに掲載されている出版情報の要約には、八咫烏と、影の陰陽道「迦波羅」、裏天皇「金鵄」を結び付ける内容が示されています。
ここで注意したいのは、国立国会図書館に書誌情報があることは、その書籍で語られる内容が史実として認定されていることを意味しない点です。
確認できるのは、「少なくとも2001年には、八咫烏と裏天皇『金鵄』を結び付ける説が出版物として存在していた」ということです。
3人の「大烏」がいるという説
裏天皇については、「3人いる」「3人の大烏がいる」といった説も語られることがあります。
ネット上や都市伝説系のコンテンツでは、八咫烏には「大烏」と呼ばれる3人の指導者がおり、その3人を「金鵄」と呼ぶという説も語られています。ただし、今回確認した公的・学術的資料や国立国会図書館の書誌情報から、この「3人」という組織構成を確認することはできませんでした。
そのため、「裏天皇は実際に3人存在している」と事実として受け取るのではなく、八咫烏を秘密組織とする都市伝説の中で語られている設定の一つとして捉える必要があります。
「12烏」「裏神道」「迦波羅」とは?

現在では三本足の烏として広く知られていますが、『古事記』『日本書紀』に「三本足」と明記されているわけではありません。熊野の信仰や賀茂氏との伝承、中国の三足烏など、さまざまな文化的背景が重なり、現在知られる八咫烏像が形づくられてきました。
この神話上の八咫烏と、現代の都市伝説で語られる「秘密結社・八咫烏」は同じものとして扱うことはできません。
八咫烏の神話上の意味や三本足の由来、秘密結社説については「八咫烏とは?意味と正体、秘密結社とされる組織について解説」で詳しく紹介しています。
「秘密結社・八咫烏」という都市伝説
ここからは、史実として確認されている話ではなく、都市伝説として語られている内容です。
都市伝説の世界では、八咫烏は単なる神話上の烏ではなく、古代から続く秘密組織の名称でもあるとされることがあります。
そこでは、八咫烏が神道や祭祀、陰陽道などの裏側に関わり、日本の歴史を影から支えてきたといった説が語られます。そして、その組織の頂点や指導的な存在を「裏天皇」と呼ぶ物語へつながっていきます。
しかし、神話に八咫烏が登場することと、「八咫烏」という秘密組織が古代から現在まで実在していることは別問題です。
今回確認した公的・学術的資料から、古代から続く秘密結社としての八咫烏の実在を確認することはできません。そのため、秘密組織としての八咫烏は、あくまで現代の都市伝説として扱います。
賀茂氏や陰陽道との関係は?
八咫烏の都市伝説が陰陽道と結び付けられる背景には、確認できる歴史と伝承があります。
下鴨神社では、祭神の賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)が八咫烏に化身し、神武天皇を導いたとする伝承が紹介されています。一方、陰陽道の歴史では、賀茂氏と安倍氏が重要な役割を担いました。国立歴史民俗博物館も、陰陽道が安倍氏と賀茂氏によって継承されていたことを紹介しています。
こうした「八咫烏と賀茂氏」「賀茂氏と陰陽道」という別々の関係が、後世の都市伝説では結び付けられ、「八咫烏は陰陽道を操る秘密組織だった」といった説として語られることがあります。
ただし、賀茂氏が秘密結社・八咫烏そのものだったことや、秘密組織が陰陽道を裏で支配していたことが史実として確認されているわけではありません。
陰陽師や陰陽道、安倍晴明の実像については「安倍晴明とは?死因や陰陽師としての実像、陰陽道との関係を解説」で詳しく紹介しています。
裏天皇「金鵄」と3人の大烏とは?
裏天皇と八咫烏を結び付ける都市伝説で、特に登場しやすい言葉が「金鵄」「大烏」「12烏」です。
これらは宮内庁などの公的資料で確認できる組織名や役職ではありません。都市伝説系の出版物やネット上のコンテンツなどで語られてきた言葉として見ていく必要があります。
「金鵄」と呼ばれる裏天皇説
八咫烏と裏天皇を結び付ける説が出版物として確認できる例の一つが、飛鳥昭雄・三神たける著『失われたイエスの12使徒「八咫烏」の謎』です。
同書は2001年12月に学習研究社から刊行されました。国立国会図書館サーチに掲載されている出版情報の要約には、八咫烏と、影の陰陽道「迦波羅」、裏天皇「金鵄」を結び付ける内容が示されています。
ここで注意したいのは、国立国会図書館に書誌情報があることは、その書籍で語られる内容が史実として認定されていることを意味しない点です。
確認できるのは、「少なくとも2001年には、八咫烏と裏天皇『金鵄』を結び付ける説が出版物として存在していた」ということです。
3人の「大烏」がいるという説
裏天皇については、「3人いる」「3人の大烏がいる」といった説も語られることがあります。
ネット上や都市伝説系のコンテンツでは、八咫烏には「大烏」と呼ばれる3人の指導者がおり、その3人を「金鵄」と呼ぶという説も語られています。ただし、今回確認した公的・学術的資料や国立国会図書館の書誌情報から、この「3人」という組織構成を確認することはできませんでした。
そのため、「裏天皇は実際に3人存在している」と事実として受け取るのではなく、八咫烏を秘密組織とする都市伝説の中で語られている設定の一つとして捉える必要があります。
「12烏」「裏神道」「迦波羅」とは?

同じ系統の都市伝説では、「12烏」「裏神道」「迦波羅」といった言葉も登場します。
これらも、一般的な皇室制度や神道の公式な組織構成を示す用語ではありません。「12烏」などはネット上や都市伝説系のコンテンツで語られることがありますが、今回確認した公的・学術的資料では、そのような組織構成を確認できませんでした。一方、「迦波羅」については、2001年刊『失われたイエスの12使徒「八咫烏」の謎』の出版情報にも登場します。
都市伝説は、実在する神話・氏族・宗教文化に独自の設定が重なることで、あたかも一つの歴史的な組織図が存在しているように見えることがあります。
そのため、「八咫烏」「賀茂氏」「陰陽道」「金鵄」「12烏」といった言葉が同じ文脈に登場していても、それぞれがどの資料で、どのような性質の情報として語られているのかを分けて見ることが重要です。
裏天皇は現在もいる?存在するといわれる説を整理
「裏天皇 現在」と検索する人が最も知りたいのは、「現在も裏天皇と呼ばれる人物が存在しているのか」という点でしょう。
結論として、現在も存在するとする都市伝説はありますが、今回確認した公的資料から「裏天皇」という役職や人物の存在を確認することはできません。
現在の実在人物を、根拠なく裏天皇や八咫烏の構成員と断定することもできません。
現在も存在するといわれる都市伝説
ネット上では、秘密結社としての八咫烏が現在も続いており、その頂点に裏天皇がいるという説が語られることがあります。
また、「現在も3人の裏天皇がいる」「表には名前が出ない」「一般社会とは異なる立場にいる」といった形で語られる場合もあります。
しかし、こうした話は公的な皇室情報とは異なる都市伝説です。
具体的な人物名が挙げられているコンテンツもありますが、その人物が「裏天皇」であることを裏付ける信頼できる資料が確認できない場合、事実として扱うことはできません。
「戸籍がない3人」などの説は確認できる?
裏天皇をめぐっては、「戸籍がない3人の人物」といった説明を見かけることもあります。
しかし、今回確認した宮内庁の皇室制度や関係法令から、そのような「裏天皇」という制度を確認することはできません。
皇室には一般の戸籍とは異なる皇統譜の制度がありますが、これは天皇・皇后や皇族の身分に関する事項を登録する公的な制度です。「戸籍がない」という表現だけを根拠に、秘密の裏天皇が存在すると結論づけることはできません。
ネット上の説明を読む際は、確認できる制度の話と、都市伝説上の設定を分けて考える必要があります。
現在の公式な皇室制度との違い
宮内庁は現在の皇室の構成を公開しており、天皇皇后両陛下、上皇上皇后両陛下、皇族方について紹介しています。
また、皇位継承、摂政、天皇・皇族の身位、皇室会議などについても制度が公開されています。
そこに「裏天皇」という身位や役職はありません。
したがって、「裏天皇は現在もいるのか」という問いには、「現在も存在するとする都市伝説はあるものの、現在の公的な皇室制度として確認できる存在ではない」と整理するのが、確認できる資料に沿った答えになります。
裏天皇・八咫烏の都市伝説はどこから広まった?
裏天皇と八咫烏の関係を考えるうえで興味深いのが、「この説はいつから語られているのか」という点です。
今回確認できた資料では、少なくとも2001年の出版物に、八咫烏と裏天皇「金鵄」を結び付ける表現があります。
ただし、「裏天皇」という言葉そのものの初出や、八咫烏との結び付きを最初に提唱した人物を今回の確認だけで特定することはできません。
2001年の書籍で確認できる「裏天皇・金鵄」
飛鳥昭雄・三神たける著『失われたイエスの12使徒「八咫烏」の謎』は、2001年12月に刊行されています。
国立国会図書館サーチでは、同書の出版情報として、秘密集団としての八咫烏や、裏天皇「金鵄」を扱う内容であることを確認できます。
そのため、「八咫烏と裏天皇の関係は最近インターネットだけで突然生まれた」とは言い切れません。少なくとも2000年代初頭には、出版物のテーマとして展開されていました。
一方で、それより古い時期に「裏天皇」という言葉や同様の説がどのように使われていたのかについては、さらに資料をたどる必要があります。
「裏天皇」という言葉には別系統の説もある
「裏天皇」という言葉を調べるうえで注意したいのは、すべての説が八咫烏につながるわけではないことです。
たとえば、2014年刊行の斎藤忠著『裏天皇の謎と安倍晴明』では、安倍晴明や古代豪族をめぐる仮説の中で「闇の帝」「裏天皇」が語られています。
これは、八咫烏の3人の大烏を「金鵄」と呼ぶ説とは同じ内容ではありません。
こうした違いを見ると、「裏天皇」という一つの言葉のもとに、異なる都市伝説や歴史仮説が重なってきたことが分かります。
なぜ八咫烏と裏天皇の都市伝説が広がったのか
八咫烏には、神武天皇を導く神話、熊野信仰、賀茂氏との伝承など、古くからさまざまな物語が重なっています。
さらに、賀茂氏と陰陽道、安倍晴明をめぐる説話、宮中祭祀など、日本の歴史には神秘的な印象を持たれやすい要素もあります。
こうした神話・歴史・信仰の要素が、秘密組織や裏天皇という現代的な物語と結び付きやすかったことも、都市伝説が語り継がれてきた背景の一つと考えられます。
重要なのは、すべてを史実として受け取ることでも、都市伝説だからと切り捨てることでもありません。
神話として確認できる話、歴史資料から確認できる話、後世の伝承、そして現代の都市伝説。それぞれの境界を知ることで、「なぜこの物語が生まれ、今も語られているのか」という別の面白さが見えてきます。
まとめ
「裏天皇」は、宮内庁が公開する現在の皇室制度にある正式な身位・役職ではありません。
一方、都市伝説の世界では、秘密結社とされる八咫烏の指導的存在や、「金鵄」と呼ばれる存在を裏天皇とする説が語られてきました。さらに、3人の大烏、12烏、裏神道、迦波羅など、さまざまな設定が加わっています。
少なくとも2001年刊行の『失われたイエスの12使徒「八咫烏」の謎』では、八咫烏と裏天皇「金鵄」を結び付ける説が出版物として確認できます。ただし、出版されていることと、その内容が史実であることは別です。
また、「裏天皇」という言葉は八咫烏系の都市伝説だけに使われているわけではなく、別の歴史仮説や都市伝説でも使用されています。
現在も裏天皇が存在するとする説はありますが、公的資料からその存在を確認できるわけではありません。
神話上の八咫烏、賀茂氏や陰陽道の歴史、そして現代の裏天皇説。それぞれを分けてたどることで、事実と都市伝説の境界そのものを楽しめるテーマといえるでしょう。
参考資料
宮内庁「制度」
宮内庁「皇室の構成」
宮内庁「天皇・皇族の身位に伴う事項」
国立歴史民俗博物館「陰陽師とは何者か―うらない、まじない、こよみをつくる―」
国立国会図書館サーチ『失われたイエスの12使徒「八咫烏」の謎』
Gakken『裏天皇の謎と安倍晴明』
