2026/09/15 16:13

天照大神は、日本神話を代表する神の一柱で、伊勢神宮の皇大神宮(内宮)に祀られている神として知られています。読み方は「あまてらすおおみかみ」です。『古事記』では「天照大御神」と表記され、現在も伊勢神宮ではこの表記が使われています。

天岩戸神話や須佐之男命との関係、三種の神器、天孫降臨など、天照大神にまつわる物語は日本神話のさまざまな場面につながっています。一方で、「女神なのか」「実在したのか」「男神説とは何か」といった疑問や異説もあります。

この記事では、天照大神がどんな神なのかを基本から整理し、誕生や家系、天岩戸神話、祀られている神社・伊勢神宮との関係、さらに実在説や男神説まで、神話・信仰上の説明と後世の説を分けながら紹介します。


目次

・天照大神(あまてらすおおみかみ)とは?どんな神様なのか
・天照大神はどのように生まれた?家系図と神々の関係
・天岩戸神話とは?天照大神が隠れた理由
・天照大神を祀る神社は?伊勢神宮との関係
・天照大神は実在した?正体や男神説・都市伝説をどう考える?
・まとめ|天照大神は日本神話と伊勢神宮を知るうえで重要な神


天照大神(あまてらすおおみかみ)とは?どんな神様なのか



天照大神は、日本神話で高天原を治める神として描かれ、太陽にも例えられる存在です。伊勢神宮では皇室の御祖神として天照大御神を祀っており、日本の神話や神道文化を知るうえで重要な神の一柱です。

「天照大神」と「天照大御神」は別の神ではありません。國學院大學の古事記学センターでは、『古事記』に登場する神名を「天照大御神」とし、別名として「天照大神」を挙げています。本記事では検索でも広く使われる「天照大神」を基本表記とし、古典や神社の表記を説明するときは「天照大御神」も使用します。


天照大神は太陽神?

天照大神は一般に太陽神として知られています。伊勢神宮も、天岩戸神話について、万物に光をもたらす太陽にも例えられる天照大御神の御神徳を表した物語として説明しています。

ただし、神話上の神を現代の自然科学上の「太陽そのもの」と同一視するという意味ではありません。日本神話や信仰の中で、光や太陽と深く結び付く神として理解されてきた、と捉えると分かりやすいでしょう。


天照大神は女神?男神説もある?

天照大神は一般に女神として知られています。國學院大學の古事記学センターが公開する『古事記』の系図データでも、天照大御神の性別は「女」と整理されています。

一方で、後世の資料や研究では男神とみる説も紹介されています。国立国会図書館のレファレンス協同データベースに収録された図書館の調査事例でも、天照大御神について女神説と男神説の双方に関する資料が紹介されています。

そのため、本記事では『古事記』をもとにした基本説明では女神として扱い、男神説については後半で「異説」として分けて紹介します。


天照大神はどのように生まれた?家系図と神々の関係

天照大神の誕生は、『古事記』と『日本書紀』で伝え方に違いがあります。日本神話には一つだけの形があるわけではないため、どの古典の物語なのかを意識して読むことが大切です。


『古事記』では伊邪那岐命の左目から生まれた

『古事記』では、黄泉の国から戻った伊邪那岐命が禊をした際、左目を洗うと天照大御神、右目を洗うと月読命、鼻を洗うと建速須佐之男命が生まれたとされています。

伊邪那岐命は三柱を尊い神々として喜び、天照大御神には高天原を治めるよう命じます。天照大御神・月読命・須佐之男命は、後世に「三貴子」と呼ばれる神々です。

ただし、『日本書紀』には伊弉諾尊と伊弉冉尊から日の神が生まれたとする本文など、異なる誕生伝承もあります。「天照大神は左目から生まれた」という説明は、『古事記』の物語として理解するのが正確です。


須佐之男命との関係

須佐之男命は、天照大神の弟神として天岩戸神話に深く関わります。

神話では、須佐之男命が高天原を訪れた後、田の畔や溝を壊し、神聖な御殿を汚すなどの乱暴な行いを重ねます。さらに機屋に皮をはいだ馬を投げ込む出来事があり、天照大御神は天岩戸へこもることになります。

この出来事が、日本神話でも特に有名な天岩戸神話へつながります。


天照大神の子孫と天孫降臨

天照大神の系譜は、天孫降臨の物語にもつながっています。

伊勢神宮が紹介する神話では、天照大御神は御孫である瓊瓊杵尊に地上を治めるよう命じ、高天原から地上へ降します。その際、八咫鏡・草薙剣・八坂瓊勾玉の三種の神器を授けたとされています。

天照大神を知ると、天岩戸だけでなく、三種の神器や天孫降臨など別々に見える日本神話が一つの大きな物語としてつながっていることが分かります。


天岩戸神話とは?天照大神が隠れた理由


天岩戸神話は、天照大神を象徴する物語の一つです。

須佐之男命の乱暴な行いを受け、天照大御神が天岩戸にこもると、世界は光を失い、さまざまな災いが起こったと伝えられています。

困った八百万の神々は、天照大御神を外へ戻すために知恵を出し合いました。


天宇受売命の舞と八百万の神々

天岩戸の前では、太玉命が八咫鏡と八坂瓊勾玉を榊にかけ、天児屋命が祈りを捧げます。そして天宇受売命が舞うと、集まった神々は大きな笑い声を上げました。

外の賑わいを不思議に思った天照大御神が岩戸を少し開くと、鏡に自分の姿が映ります。その姿に気を取られたところを手力雄神が岩戸から導き出し、世界に再び光が戻ったと伝えられています。

単に「神が洞窟に隠れた話」ではなく、光を失った世界に、神々が協力して秩序を取り戻していく物語でもあります。


天岩戸に登場する八咫鏡と三種の神器

天岩戸神話では、八咫鏡と八坂瓊勾玉が重要な役割を果たします。

その後、天孫降臨の物語では八咫鏡・草薙剣・八坂瓊勾玉が瓊瓊杵尊に授けられ、三種の神器として伝えられます。

八咫鏡は現在、伊勢神宮の皇大神宮で天照大御神の御神体として祀られています。

三種の神器それぞれの意味や、現在どこにあるとされているのか、「見てはいけない」といわれる理由については、「三種の神器とは?本物はどこにある?見てはいけない理由まで解説」で詳しく紹介しています。


天照大神を祀る神社は?伊勢神宮との関係


天照大神を祀る代表的な神社が、三重県伊勢市の伊勢神宮です。

ただし、「伊勢神宮」という一つの社殿だけがあるわけではありません。神社本庁によると、正式には「神宮」といい、内宮と外宮をはじめとする125のお社の総称です。

その中心の一つである皇大神宮、一般に「内宮」と呼ばれるお宮に、天照大御神が祀られています。


伊勢神宮・内宮の御祭神は天照大御神

伊勢神宮の皇大神宮(内宮)の御祭神は天照大御神です。

皇大神宮の正宮では、三種の神器の一つである八咫鏡を御神体として祀っています。伊勢神宮公式では、天照大御神を皇室の御祖神として説明しています。

天照大神について調べると伊勢神宮や八咫鏡が繰り返し登場するのは、日本神話上の物語だけでなく、現在の神宮の信仰とも深く結び付いているためです。


天照大神を祀る神社は全国にある

天照大神が祀られているのは伊勢神宮だけではありません。

神社本庁によると、天照大御神を祀る神社は一般に「神明さま」とも呼ばれ、神明神社・神明社・神明宮などの名称で各地にあります。そのほか、大神宮・伊勢神社・天祖神社などにも天照大御神を祀る神社があります。

ただし、同じ名前の神社であっても、それぞれの由緒や祭神の構成まで同じとは限りません。実際に参拝する神社について知りたい場合は、その神社の公式情報や由緒を確認するとよいでしょう。


天照大神の「ご利益」はどう考える?

天照大神については「どんなご利益があるのか」と検索されることもあります。

伊勢神宮は、天岩戸神話を、万物に光をもたらす太陽にも例えられる天照大御神の偉大な御神徳を表す物語として紹介しています。

一方で、ご利益を「この願いが必ず叶う」「参拝すれば特定の結果が得られる」といった効果として断定するものではありません。天照大神のご利益を知る際は、神社ごとの信仰や由緒の中で、どのような御神徳が語られているかを見るのが適切です。


天照大神は実在した?正体や男神説・都市伝説をどう考える?


ここからは、『古事記』や伊勢神宮の神話として確認できる基本説明とは分けて、天照大神の「実在」「正体」「男神説」をめぐる異説を見ていきます。

これらには、史実として確立している内容と、研究上の解釈、後世の伝承、現代の都市伝説が混在しています。同じものとして扱わないことが重要です。


天照大神は実在した人物なのか

天照大神は『古事記』『日本書紀』などに神として登場します。

一方、「天照大神の正体は特定の歴史上の人物だった」「実在した人物がそのまま神格化された」といった説も語られることがあります。

しかし、天照大神を特定の実在人物と同一視する説は、史実として確立したものではありません。

そのため、基本的には日本神話に登場する神として説明し、実在人物モデル説については一つの異説として捉えるのが適切でしょう。


なぜ「天照大神は男神だった」という説がある?

現在、天照大神は女神として語られることが一般的です。しかし、男神だったとする説も後世に存在します。

国立国会図書館のレファレンス協同データベースに収録された図書館の調査事例では、天照大御神の性別について、女神説と男神説の双方に関する資料が紹介されています。『日本書紀』の名称などを根拠に女神と解釈する資料がある一方、後世の『神道集』には日の神を男性とする記述があるとされています。

つまり、「実は男神だったことが判明した」という話ではありません。資料や時代によって異なる捉え方が存在する、というのが実情です。

こうした違いは、長い年月の中で神話が読まれ、信仰され、解釈されてきたことを示す一例ともいえるでしょう。


「正体」をめぐる説や都市伝説

天照大神には、実在人物モデル説のほかにも「本当の正体」をめぐるさまざまな説が語られています。

ただし、それらを『古事記』や『日本書紀』に書かれた神話、伊勢神宮などの公式な信仰上の説明と混同することはできません。

天照大神について異説や都市伝説を読むときは、

・古典に書かれている神話なのか
・神社や信仰の中で伝えられている内容なのか
・研究者による解釈や仮説なのか
・後世の俗説や都市伝説なのか

を分けて見ると理解しやすくなります。

確かな基本情報と異説を分けて知ることで、天照大神という存在が日本文化の中でどのように語り継がれてきたのかを、より立体的に楽しめます。


まとめ|天照大神は日本神話と伊勢神宮を知るうえで重要な神


天照大神(あまてらすおおみかみ)は、日本神話で高天原を治め、太陽にも例えられる神です。『古事記』では「天照大御神」と表記され、伊勢神宮の皇大神宮(内宮)でも天照大御神として祀られています。

『古事記』では伊邪那岐命の禊から生まれ、須佐之男命との関係から天岩戸神話へ、さらに天孫降臨や三種の神器へと物語がつながっていきます。

また、天照大御神は伊勢神宮だけでなく、神明神社・神明社・神明宮など全国の神社でも祀られています。

一方、実在人物説や男神説、「正体」をめぐる説については、日本神話の基本情報とは区別して考える必要があります。神話、信仰、研究上の解釈、都市伝説。それぞれの性質を分けて見ることで、天照大神をめぐる物語の奥行きが見えてきます。

天照大神を入口に天岩戸、三種の神器、伊勢神宮へと知識を広げていくと、日本神話の神々や神宝が互いにつながっていることも分かります。


参考資料

伊勢神宮「神宮の神話

伊勢神宮「皇大神宮(内宮)正宮

國學院大學 古典文化学事業「天照大御神

國學院大學 古事記学センター「古事記系図

神社本庁「天照大御神の御誕生

神社本庁「各地の神社

国立国会図書館 レファレンス協同データベース「伊勢神宮に祀られている『天照大御神』は男か女か知りたい。